ライトノベル ムシウタbug レビュー

タイトル ムシウタbug 1st. 夢回す銀槍
著者 岩井恭平
イラスト るろお
出版 角川スニーカー
発売日 2004年8月


執筆者:jade 評価:
不治の病に冒された少女・花城摩理。彼女は死の間際、親友・一之黒亜梨子に願いを託してこの世を去る。その日を境に亜梨子に銀色のモルフォ蝶が寄り添うようになる。なぜこの虫は亜梨子の側を離れないのか?亜梨子に託された摩理の願いとは?その答えを求め、亜梨子は虫憑きと呼ばれる存在を探し始める───
というのがあらすじ。

この物語はムシウタ本編の過去にあたる話でそれゆえ主人公の薬屋大助はまだ幼さを残し、強くなりきれていません。自分の中の絶対的な正義を信じ、人から罵られながらも信念を変えないというところに魅力があっただけに残酷な場面を前に簡単に揺らぎ、躊躇する姿は見ていて苛立ちすら感じます。
一方、もう一人の主人公である亜梨子は我が儘なお嬢様という今までのムシウタシリーズにいなかったタイプのヒロイン。思ったことをズバズバ言うタイプなのですがそのほとんどが自身が虫憑きではなく、虫憑きの苦悩がわからないゆえの無神経な発言なのであまり好感が持てません。この辺りの主要キャラの魅力の欠如が本編に比べて決定的に劣るところでしょう。

見所は物語の視点が摩理に移る第4章。ここで彼女の真の姿が明らかになるのですが病弱なイメージとはまったく異なる姿には驚きを隠せません。見た目とは異なり、残虐さすら感じさせる気性。この辺りのギャップが私には魅力的に映りました。
先生との出会い、亜梨子との出会い、そして不死の虫憑きとの出会い。それらによって起こる彼女の心情の変化は痛ましいものがあります。天使の薬と悪魔の薬。果たして最期に彼女はどちらを選んだのか?
この巻ではその答えは出ません。ようやく物語が動き出したと感じられたところで終わってしまうのですよ。つまりこの巻は物語の序章に過ぎないということです。
彼女の本当の想いに触れることになる続巻への期待は大きいのですがそれまで歯痒い思いをすることになりそうです。そのため、2巻が発売してから一緒に購入したほうが良いかもしれませんね。


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